2012年11月04日

東吉野村・最後の日本狼

数日前の夕刻、奈良の山間部を車で走っていた。東吉野村、鷲家の木津(こつ)峠。道路脇には歌人、前登志夫さんの歌碑があった。横目でちらっと見た瞬間、心の深いところにあるフタが、うっかりあいてしまった。また…前さんを思うといつもこうだ。(お会いしたことはないが)

高見川に沿って細い道をゆく。日没間近の山里には霧が立ちこめて、うすい紫色にけむっていた。ふと、日本狼のブロンズ像が現れた。何度も通っているから、このへんだったかなと思いながら走っていたのだけれど…。

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車をおりてまじまじと見る。意外と小さいものなのね。
明治38年、ここで捕らえられた若雄が、最後の日本狼となった。死体は腐敗が進んでいたらしいが、8円50銭でイギリス人が買っていったそうだ。

傍らの石には、三村純也氏の俳句が刻まれていた。

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狼は亡び 木霊は存ふる
おおかみはほろび、こだまはながらふる。
狼の消えた森で、木霊はながらふることができるのだろうか。
木霊。

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冬の夜をねむらず歩むけものをり雪うすく敷ける星空の下  前登志夫  
                            (歌集『野生の聲』より)




posted by きたうらまさこ at 01:23 | TrackBack(0) | 紀州の民話・伝説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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